ネット上の情報やSNSの言説では、「愛情を持って接すれば変わる」「相手の孤独を理解してあげることが大切」といった融和的なアドバイスが散見されます。しかし、臨床現場の現実は極めて過酷です。相手に共感して歩み寄ろうとする姿勢こそが、相手の支配欲を助長させる最大の燃料になります。
精神科・心療内科での治療とカウンセリングの現在を見渡しても、NPDの本人が自発的に受診するケースは稀です。多くの場合、うつ病や適応障害、アルコール依存、あるいは職場での失脚や配偶者からの三行半を突きつけられた「二次的な破綻」を契機に受診します。たとえ治療が開始されたとしても、医師を「自分の優秀さを認めない無能な専門家」として見下し、短期間で通院を中断する割合が他疾患に比べて著しく高いのが実情です。
また、自己愛性パーソナリティ障害の末路と孤立の理由についても直視しておく必要があります。若年期や職場で権力・美貌・業績を保っている間は周囲を威圧して人を従わせることができますが、年齢を重ねて社会的地位や能力が衰退するにつれ、取り巻きは一人、また一人と去っていきます。最終的に虚妄のプライドだけが残り、家族からも絶縁され、極度の孤独と周囲への怨嗟に苛まれながら孤立無援の境遇に陥る例が少なくありません。この不可逆な崩壊プロセスに巻き込まれないためにも、「救済者」になろうとする傲慢さを捨て、冷静に身を引く姿勢が求められます。