この表現の根幹にあるどないやねんの語源は、古語の「いかに(如何に)」が変化した近世上方語「どない(如何に)」に由来します。江戸時代の上方落語の速記本や商人の帳場言葉にも見られる「どないだ(どうなのか)」が、明治・大正期を経て大阪船場の町人言葉と混ざり合い、「〜や(断定)」「〜ねん(〜のだ、の変形)」という終助詞を伴って完成しました。
ここで重要なのが、関西弁のニュアンスが持つ特殊な対人距離の操作性です。標準語で「これでどうするつもりですか?」「意味が分かりません」と突き放す場合、言葉のトーンは冷徹な詰問や糾弾になりがちです。一方、「これでどないやねん」と発声する場合、根底には次のような心理的契約が結ばれています。
「私はあなたの不手際や奇妙な行動に呆れているが、それを敵対ではなく『笑いのネタ』として拾い上げてあげている」という合意形成です。方言の真相として、関西圏のコミュニケーションは「相手に恥をかかせないための防衛装置」として機能する側面があり、このフレーズも攻撃ではなく「共犯関係の構築」を目的として発展してきました。