大喜利でのコミカルな活躍が広く知られる楽太郎さんですが、本業である落語の腕前も極めて端正で本格派でした。江戸の風情を丁寧に描き出す古典落語を得意とし、数々の代表作を残しています。
- 『船徳』:若旦那の世間知らずさと船頭たちのやり取りを軽快なテンポで演じ分けた、若き日からの代名詞的一席。
- 『藪入り』:奉公先から帰ってきた我が子を想う父親の情愛を細やかに表現し、客席を涙と笑いで包み込んだ名演。
- 『芝浜』:人情噺の大ネタにも果敢に挑み、夫婦の機微を六代目円楽ならではのリアリティと温かさで描写。
- 『ねずみ穴』:人間の業や兄弟の葛藤を描き切る重厚な語り口で、観客を圧倒した晩年の真骨頂。
また、楽太郎さんが残した数々の名言には、芸人としての覚悟が宿っていました。「落語は人間の業の肯定である」「客席を裏切っても、客の期待は裏切るな」という言葉通り、伝統芸能の敷居を下げて裾野を広げつつ、本質的なクオリティを決して落とさない姿勢を生涯貫き通しました。