出生時の取り違えは、退院直後ではなく、当事者が成長して大人になってから発覚するケースが少なくありません。その最大の引き金となったのが血液型の不一致と、近年のDNA鑑定技術の進展です。
かつては学校の生物の授業や献血、結婚前の検査などで「両親の血液型の組み合わせからは絶対に生まれない血液型」であることが判明し、疑念を抱くパターンが多く見られました。しかし、血液型だけでは「突然変異」や「検査ミス」の可能性を完全に排除できず、決定的な証拠には至らないこともありました。
事態を決定づけたのが、1990年代以降に精度が飛躍したDNA鑑定です。代表的な事例として知られるのが、2013年11月に東京地裁で判決が下された事件です。この事件では、裕福な家庭で育った3人兄弟が「長男だけが両親や自分たちと全く似ていない」と長年疑問を抱いており、両親の他界後に遺品から見つかったへその緒や母親の遺品を用いてDNA鑑定を実施。その結果、血縁関係が完全に否定され、実の兄が別の場所で生きている事実が判明しました。
病院の分娩記録を執念深く遡った結果、同じ日のわずか13分差で生まれた別の男児と取り違えられていたことが証明されたのです。鑑定技術の進化が、半世紀以上封印されていた真実を白日の下に晒すこととなりました。