公式の舞台で一度も戦ったことがなかった両校の運命の一戦。試合はフルセットに及ぶ壮絶な消耗戦となりました。第1セットを音駒高校が27-25のデュースの末に先取。第2セットは烏野高校が猛攻を仕掛けて26-24で取り返し、迎えた最終第3セットは両者が互いの戦術と体力を極限まで削り合う展開となりました。
勝着を決めたのは、烏野の強烈なアタックでも音駒の粘り強いレシーブでもありませんでした。スコア25-21、両チーム合わせて数十回に及ぶ驚異的なロングラリーの末、音駒のセッター・孤爪研磨がオープン攻撃を上げようとした瞬間、掌に溜まった汗によってボールが無情にもすり抜けてコートへ落下。あまりにも日常的で、あまりにもリアルなミスによって試合終了のホイッスルが鳴り響きました。
原作漫画における該当箇所は、単行本第33巻・第294話「ゴミ捨て場の決戦」から第37巻・第325話「ゴミ捨て場の約束」までにあたります。アニメーション制作を担当したProduction I.Gと満仲勧監督は、原作コミックス約4巻分に及ぶ濃厚な心理戦とプレーの数々を、映画というフォーマットに合わせて緻密に再構成しました。
試合終了直後、コートに倒れ込んだ研磨が幼馴染の主将・黒尾鉄朗に向けて放った「たーのしー」「クロ、おれにバレーボール教えてくれてありがとう」という一言は、これまで「疲れるから」と省エネに徹していた研磨の内面が完全に解放された瞬間であり、本作最大のエモーショナルな到達点として観客の涙を誘いました。