『ONE PIECE』の単行本第3巻に収録された秘蔵スケッチには、ファンを唸らせる衝撃的な初期構想が記されていた。物語の序盤でルフィたちの前に立ちはだかる「バギー海賊団」。あのアクロバティックで不気味なサーカス団風の一味において、用心棒として配置される予定だったのが、他ならぬゾロだったのだ。
長兄としての貫禄すら漂わせる現在の姿とは異なり、初期案のゾロは道化のバギーに従う舎弟風の剣士として描かれていた。もしこの設定が採用されていれば、ルフィとの出会いも敵同士としての壮絶な死闘から始まっていたことになる。尾田栄一郎の頭の中にあった初期構想は、悪漢でありながらどこか憎めない敵キャラクターの用心棒という、既存の少年漫画における典型的な敵役に近いものだった。
しかし、担当編集者との議論や物語全体のスケール感を検証する過程で、この設定は白紙に戻された。ゾロを単なる敵の配下ではなく、ルフィの「最初の仲間」として独立した存在に再構築した判断こそが、その後の物語を大きく動かす最大の転換点となった。