もちろん、情を無批判に礼賛することは危険だ。ビジネスの現場において、情に流された判断が過剰なコストや不正の隠蔽につながった例は歴史上数知れない。身内への情が公私の混同を生み、不公正な選択を引き起こすリスクは常につきまとう。
重要なのは、論理と感情を対立させることではない。冷徹な事実分析とリスク管理を前提とした上で、最後の決断に「血を通わせる」こと。それこそが、情報過多の時代を生き抜くための知的バランス感覚なのだ。
自分自身の感情に耳を傾けつつも、客観的な視点を失わない。この二重の視点を持つことこそが、情に流されず、かつ情を殺さない唯一の道と言える。