東京・両国国技館をはじめ全国各地で開催される本場所において、取組前に土俵を周回する幟は「懸賞幕」と呼ばれる。一見すると風情ある装飾品のようだが、実体はきわめて視認性の高い「動く屋外広告」だ。
広告宣伝業の視点から見ても、大相撲の懸賞幕は他に類を見ないユニークな費用対効果を持つ。企業が自社ロゴや主力商品を染め抜いた幕を用意し、行司の呼び上げとともに土俵をぐるりと一周する。お茶の間の定番商品を展開する株式会社永谷園ホールディングスをはじめ、長年にわたり土俵を彩り続けている看板企業は数知れない。数千人の現地観客だけでなく、カメラのフレーム越しに全国へ向けて自社ブランドを届けるこのシステムは、伝統芸能と現代の広告手法が見事に融合したビジネスモデルの結晶なのだ。