スマートキーが完全に沈黙してしまい、ドアノブのセンサーに触れてもリモコンボタンを押しても反応しない場合、パニックに陥る必要はありません。自動車メーカー各社は、電波が完全に途絶えた状況でも車両の解錠と走行ができる二重のフェイルセーフ機構を組み込んでいます。
最初に行うべきは、スマートキー本体に格納されているメカニカルキー(非常用金属キー)の使い方の確認です。キー側面のリリースレバーやスライドスイッチを押しながらキーリング側を引き抜くと、小型の金属製鍵が現れます。運転席側のドアハンドル付近に設けられた鍵穴(車種によっては保護カバーの下に隠れている場合があります)に差し込み、手動で回せば物理的にドアロックを解除できます。
ここで注意しなければならないのが、盗難防止装置(セキュリティアラーム)の作動です。手動でドアを開けると、車両側の防犯システムが「不正侵入」と判定し、クラクションが激しく鳴り響く場合があります。この警報を止めて平常状態へ復帰させる唯一の手段が、次に解説するスマートキー電池切れ時のエンジン始動方法です。
電波が微弱化したスマートキーでエンジンを始動させる基本手順は、主要メーカーほぼ共通の仕組み(イモビライザーの近接トランスポンダー通信)を採用しています。
1. シフトポジションが「P(パーキング)」にあることを確認し、ブレーキペダルを強く踏み込みます。
2. スマートキーの背面(メーカーのエンブレムが刻印されている面)を、スタートボタン(パワースイッチ)の中央に直接触れさせます。
3. 車両側が内部のICチップを認識すると「ピピッ」というブザー音が鳴り、スタートスイッチのインジケーターが点灯(緑色など)に変化します。
4. 音や点灯を確認したあと、10秒以内にスタートボタンを押し込むことで、セルモーターが回りエンジン(またはハイブリッドシステム)が通常通り始動します。
日産車の一部などスタートボタンにキーを挿し込むスロットが備わっているモデルや、ホンダ車でボタンへ接触させる角度に指定がある車種も存在しますが、「キーのエンブレム面をボタンにかざしてブレーキを踏む」という基本原則を覚えておけば、慌てずに対処が可能です。