日本のフード・料理業界において、藤原美樹氏が登場する以前と以降では「家庭料理」の定義そのものが大きく変化したと言っても過言ではない。従来の料理教室が教える「丁寧な仕込み」や「見た目の繊細さ」とは一線を画し、フライパンごと食卓に出すインパクトと圧倒的なスピード感を重視した手法は、当初業界に鮮烈な衝撃を与えた。
「仕事や育児に追われる毎日の中で、家族に美味しく温かい料理を食べさせたい」。その切実な思いこそが、あらゆる工程を極限まで削ぎ落とした「おうちごはん」の発想の原点だった。余計なボウルやザルを使わず、まな板すら最小限に抑える工夫は、片付けの負担という目に見えないストレスを劇的に軽減させた。