近年、大人の読者をも震え上がらせているのが、岩崎書店が展開する「怪談絵本」シリーズの一作、京極夏彦氏作・町田尚子氏絵の『いるの いないの』だ。日本を代表する小説家と気鋭のイラストレーターが組み上げたこの作品は、現代におけるホラー絵本の金字塔として高い評価を得ている。
古い民家の天井の暗がりに「誰かがいるかもしれない」という、誰もが一度は抱く日常の不安。その視線の恐怖を極限まで高めた構図と静寂な文章のアンサンブルは、読者を逃げ場のない心理的死角へと追い込んでいく。ページをめくる手が思わず止まるほどの圧迫感は、絵本という媒体が持つ視覚的リアリティの到達点を示している。