1980年代後半、解体の足音が近づく中でこの巨大構造体に潜入し、その内部を克明に記録した人物がいる。写真家の宮本隆司だ。彼のカメラが切り取った写真群は、建築美学の視点から異様な存在感を放ち、世界中に強烈な衝撃を与えた。
太陽の光が届かない階下層の暗闇、張り巡らされた不法電線と水道管の束、生活臭が漂う狭小な部屋。写真集として発表されたそれらの光景は、単なる廃墟記録にとどまらず、巨大な生命体のように増殖した空間のグラフィックな証言となった。外部の訪問者が感じた異様さと、内部の人間が感じていた安らぎのギャップが、彼のレンズを通じて鮮明に浮かび上がる。