暴力による支配が絶頂に達していた1972年11月、日本の大学史上もっとも凄惨な事件が起きる。第一文学部の学生だった川口大三郎さんが、革マル派の活動家らによって拉致され、キャンパス内の自治会室で取り調べと称する凄惨な暴行を受け命を奪われたのだ。
このいわゆる川口大三郎事件は、大学社会に計り知れない衝撃と深い失望を与えた。他セクトのスパイと一方的に疑われた一人の若者が、何時間にもわたりリンチされ死亡した事実は、学内の「自治」という名目が暴力を隠蔽する免罪符となっていた現実にほかならない。事件後、怒りに燃えた一般学生たちによる大規模な抗議集会やストライキが発生したものの、恐怖政治を完遂した革マル派の支配体制を即座に崩壊させるまでには至らなかった。