ラトゥールより遥か昔、イギリスの劇作家ウィリアム・シェイクスピアもまた、劇中で植物の持つ象徴性を極限まで活用していた。代表作『ハムレット』において、狂気に陥ったオフィーリアが散らすパンジーやローズマリー、ルータなどの草花は、単なる背景描写ではない。
ローズマリーは「記憶」、パンジーは「思索」を象徴し、登場人物たちの非業の運命や隠された内面を雄弁に物語る。シェイクスピアの時代から、西洋文化圏では草花と人間感情が密接に結びついており、文学作品を通じた詩的な隠喩が現代の概念へと脈々と受け継がれている。