「生類憐れみの令で蚊を殺して処罰された」「武士が雀を撃って切腹させられた」。こうした刺激的なエピソードは、新井白石ら後世の政治敵対勢力が綱吉の威信を失墜させるために強調、あるいは創作した政治的プロパガンダの側面が強い。
実際の処罰記録を紐解くと、重罰に処された者の多くは、犬を虐殺して売り捌いていた業者など、極めて悪質なケースに限られていた。誤って犬を傷つけた町人が、近隣住民の助け舟によってお咎めなしとなった記録も数多く残る。過酷な恐怖政治というイメージは、後世の創作によって膨れ上がった都市伝説に過ぎない。