では、この鮮烈なデビュー作は当時のマーケットでどれほどの商業的成果を収めたのでしょうか。後年の国民的知名度から「デビューと同時に爆発的メガヒットを記録した」と記憶されがちですが、客観的な実売データはその歩みが着実なステップアップであったことを示しています。
オリコン公認データおよび当時の音楽業界統計を振り返ると、「恋する季節」の最高順位はオリコンシングルチャート42位、推定累積売上は約4.2万枚でした。新人アイドルのデビュー曲としては十分に健闘した数字であるものの、チャート上位を席巻するようなロケットスタートではありませんでした。しかし、この楽曲が放った熱量は、現場の音楽関係者や熱心な音楽ファンを確実に捉えていました。
この数値が意味するのは、単なる「初動の小ささ」ではありません。テレビ局のスタジオや全国のレコード店店頭でのキャンペーンを重ねるごとに、直接パフォーマンスを目撃した人々が次々とファン化していったプロセスを物語っています。生ステージでの爆発力が口コミとなって広がり、翌1973年の「情熱の嵐」でオリコン週間トップ10入りを果たすまでの重要な導火線となったのです。