世間に広く定着している「3組に1組が離婚する」という言説は、統計学的に正確な表現ではありません。この数字の根拠となっているのは、ある1年間に成立した「婚姻件数」に対する「離婚件数」の割合(特殊離婚率に近い簡易指標)です。
たとえば、年間でおよそ50万組が結婚届を提出し、同じ年に約16万組から17万組が離婚届を出した場合、計算上は「17万÷50万=約34%」、すなわちおよそ3組に1組という計算が成り立ちます。しかし、その年に離婚した17万組の大部分は、何年も、あるいは何十年も前に結婚した夫婦です。母集団である「その年に結婚した人たち」がそのまま3割以上別れているわけではありません。
人口学で正確な指標として扱われるのは、人口1,000人あたりの離婚件数を示す普通離婚率(粗離婚率)です。日本の普通離婚率は長らく1.5〜1.6前後で推移しており、国際的に見てもアメリカ(約2.5前後)などに比べて極端に突出しているわけではありません。婚姻件数そのものが未婚化・晩婚化・少子化によって急減しているため、見かけ上の「婚姻に対する離婚の比率」が高く見えているに過ぎないのが客観的な実態です。