なぜ早明浦ダムはこれほど頻繁に渇水危機が報じられるのか。その根本的な早明浦ダム取水制限理由には、四国特有の地形的要因と複雑な水利権構造が存在します。
吉野川は高知県の山間部に水源を発し、徳島県を抜けて紀伊水道へと注ぐ大河川です。早明浦ダムはこの本川最上流部に建設された巨大ダム(有効貯水容量2億8,900万立方メートル)であり、貯留された水は徳島県への流水維持・利水のほか、香川用水を通じて水不足に悩まされてきた香川県全域へ送水され、さらに銅山川を通じて愛媛県東予地方の工業地帯へも分水されます。
早明浦ダムにおける取水制限は、ダムが完全に干上がる事態を回避するため、貯水率の低下度合いに応じて前もって放水量を絞る「事前防衛策」です。早明浦ダム放流情報に基づき、放流量を絞ることで下流への供給を制限し、残された貯水を少しでも長く持たせる運用がプロトコルとして確立されています。