なぜ清里「萌木の村Rock」に行列が絶えないのか?奇跡の復活と名物の真相

なぜ清里「萌木の村Rock」に行列が絶えないのか?奇跡の復活と名物の真相

なぜ清里「萌木の村Rock」に行列が絶えないのか?奇跡の復活と名物の真相の背景について、専門知識を基に徹底解説します。

八ヶ岳南麓の象徴ともいえるROCKを語るうえで、避けて通れない決定的な出来事があります。それが2016年8月8日未明に発生した全焼火災です。当時、清里の文化とコミュニティを45年以上にわたって支え続けていた木造の店舗、そして敷地内に併設されていたクラフトビールの心臓部である醸造施設が、猛火によってわずか数時間で灰燼に帰しました。

店舗の全焼というニュースは、地元関係者のみならず全国の常連客に計り知れない衝撃を与えました。萌木の村の代表取締役社長である舩木上次氏は、当時の取材や手記のなかで「燃え盛る炎を前にした瞬間、目の前が真っ暗になり、すべてが終わったと感じた」と述懐しています。しかし、絶望の焼け跡の中で、信じられない奇跡が起きていました。地下深くに厳重に保管されていたビール酵母、そして半世紀にわたり継ぎ足されてきたROCKビーフカレーのベースとなる秘伝のルー酵母が、火災の猛烈な高熱に耐えて無傷のまま残されていたのです。

「この味の魂が生きている限り、絶対にここで店をやり直す」——創業者たちの不屈の決断に呼応するように、奇跡の連鎖が始まりました。再建に向けたクラウドファンディングが立ち上がると、わずか数ヶ月の間に目標を遥かに上回る5,000万円以上の支援金が集まり、全国から数千通に及ぶ励ましの手紙やボランティアが現地へ駆けつけました。地域住民、建築家、クラフトマン、そして全国のファンが一体となり、火災からわずか10ヶ月後の2017年6月、より力強くモダンに生まれ変わった新店舗が営業を再開したのです。

清里ROCKに人々が殺到する理由は、単に「食事が美味しいから」だけではありません。困難に打ちひしがれながらも立ち上がった人々の情熱と、顧客との間に築かれた強固な信頼関係という「目に見えない物語」が、料理の一皿一皿に圧倒的な説得力を与えているからに他なりません。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。