建て替えが撤回された後、ロイヤルBCミュージアムの現在はどうなっているのでしょうか。結論から言えば、2026年現在、博物館は通年で通常営業を行っています。全面閉鎖の危機を免れた館内では、国内外から訪れる多くの観光客が歴史と自然の探求を楽しんでいます。
来館者にとって最大の関心事だったのが、長年同館の代名詞とされてきたロイヤルBCミュージアムのオールドタウンの行方でした。19世紀末から20世紀初頭のビクトリアの街並みを等身大のジオラマで精巧に再現したこのエリアは、木造の舗道や石畳、活版印刷所、ホテル、チャイナタウンの薬局などが並び、圧倒的な没入感で親しまれてきました。閉鎖発表時には存続を求める署名活動まで起きた名物展示ですが、2026年夏に「Old Town: New Perspectives(オールドタウン:新たな視点)」として待望の再オープンを果たしました。
再開されたオールドタウンは、従来のノスタルジックな世界観を残しつつも、当時過酷な差別に晒されていた中国系移民や先住民族労働者の生活実態に光を当てる解説パネルや音声資料が加わり、より多角的な歴史の深みを伝える空間へとアップデートされています。過去を都合よく美化するのではなく、光と影の双方を可視化する試みとして、文化関係者からも高く評価されています。
一方、2階に広がるロイヤルBCミュージアムの先住民族展示(First Peoples Gallery)も、極めて重要な見どころです。北米屈指のクオリティを誇るトーテムポールの実物群、精巧に彫り込まれた儀式用仮面、巨大なカヌーなどは圧巻の一言。先住民族コミュニティの長老やアーティストと綿密な対話を重ねながら、不当に持ち去られた神聖な遺物の返還(レパトリエーション)を進めつつ、現在も生き続ける先住民族文化の尊厳を伝える生きたギャラリーとして公開されています。