旧大社駅の駅舎は、1912年(明治45年)の国鉄大社線開通時に建てられた初代駅舎が手狭になったため、1924年(大正13年)2月に改築された2代目駅舎です。出雲大社の玄関口にふさわしい格調を持たせるため、当時の鉄道省の設計技師と地元の宮大工たちの卓越した技術を結集して建てられました。
建築様式は木造平屋建ての切妻造り(社殿風建築)で、中央にそびえる大屋根の破風や、軒下に施された緻密な組物(くみもの)、懸魚(げぎょ)などの装飾は、神社建築の様式美を色濃く反映しています。駅舎内部に足を踏み入れると、天井高約6.5メートルの開放的な三等待合室が広がり、大正ロマン漂う格天井や特注の和風シャンデリアが訪れる者を圧倒します。
その卓越した意匠性と近代交通建築としての希少性が評価され、2004年(平成16年)には国の重要文化財に指定されました。全国の駅舎において国の重要文化財に指定されているのは、東京駅丸の内駅舎(東京都)、門司港駅(福岡県)、そしてこの旧大社駅(島根県)のわずか3件のみ。その中でも純和風の木造駅舎としては唯一無二の存在です。