地球一周の距離を語る際、最も基本となる公称値は約4万kmです。しかし、厳密な測地学の視点に立つと、どこを通って一周するかによってその距離は明確に異なります。国土地理院や国際地球回転・基準系事業(IERS)が採用する現代の世界測地系(GRS80 / WGS 84)の最新測定値を見ると、驚くべき事実が浮かび上がります。
地球を横にまわる「赤道全周」は40,075.017kmであるのに対し、北極と南極を通って縦にまわる「子午線全周」は40,007.863kmです。その差は実に約67.154kmに達します。この67kmという距離は、東京駅から小田原駅、あるいは大阪駅から京都駅を越えて滋賀県大津市近郊に至る距離に匹敵する大きなギャップです。
なぜこのような差が生まれるのか。その理由は、地球が完全な球体ではなく、わずかにつぶれた「回転楕円体(扁平率約298分の1)」であるためです。地球はおよそ24時間で1回転する自転運動を続けており、これに伴う強烈な遠心力が赤道付近に最も強く働きます。赤道上の地表は時速約1,670kmという猛烈なスピードで回転しているため、外側へと引っ張られる力が働き、赤道半径(約6,378km)が極半径(約6,357km)よりも約21km長くなっています。この横方向の膨らみが、周囲長において約67kmもの差を生み出しているのです。