「スラブ」という言葉は、建築以外にも製鉄・歴史社会学・スポーツクライミングなど、多様な専門分野で全く異なる意味を持って使われています。
1. 製鉄業界におけるスラブ(鋼片)
鉄鋼メーカーにおけるスラブとは、高炉で溶かした鉄を連続鋳造機で固めた直方体形状の巨大な半製品(鋼片)を指します。厚さ数十センチ、幅1〜2メートル、長さ数メートルにおよぶ平たい鉄の塊であり、これを熱間圧延機で薄く引き延ばすことで、自動車用鋼板や家電・建材用鋼板(ホットコイル等)が製造されます。
2. 歴史・民族学におけるスラブ民族
東ヨーロッパ、中央ヨーロッパ、バルカン半島一帯に広がるインド・ヨーロッパ語族系の民族集団をスラブ民族(Slavs)と呼びます。言語と歴史的経緯から「東スラブ(ロシア人、ウクライナ人、ベラルーシ人)」「西スラブ(ポーランド人、チェコ人、スロバキア人)」「南スラブ(セルビア人、クロアチア人、ブルガリア人など)」に分類されます。中世初期の民族大移動を経て独自の文化圏と歴史を築いてきました。
3. ボルダリングにおけるスラブ壁
スポーツクライミングやボルダリングにおいて、傾斜角度が90度未満(垂直より手前に寝ている)の緩傾斜の壁を「スラブ」と呼びます。腕力で体を持ち上げるオーバーハング(前傾壁)とは異なり、足裏の繊細な摩擦力(フリクション)と絶妙な重心移動、バランス感覚が極限まで問われるテクニカルなクライミングスタイルです。