一部のライト層やネット上の論調において、「御幸は天才・降谷暁ばかりを贔屓しており、沢村は後回しにされていたのではないか」「御沢の関係は御幸側の一方的なリードによる主従関係ではないか」という誤解が散見されます。
しかし、ダイヤのA 御沢 考察を深めると、この見解が構造的な誤読であることが明白になります。
物語初期において御幸が降谷の剛速球に惹かれたのは事実ですが、それは捕手としての純粋な本能によるものです。一方で、御幸が沢村に対して注いだ時間は質・量ともに桁違いでした。沢村のムービングの軌道を身体で覚え、変化球の握りを共に試し、イップス発症時にも見捨てることなく段階的なリハビリリードを組み立てたのは他ならぬ御幸です。
また、沢村も御幸のリードに盲従していたわけではありません。納得がいかない配球には首を振り、マウンド上で自己主張を貫くことで、御幸に「こいつの要求に応えたい」と思わせる投手へと進化していきました。つまり、2人の関係は一方通行の依存関係ではなく、「厳しいプロフェッショナリズムに基づく相互作用」によって成立しているのです。