本作の撮影が行われた当時、白石麻衣は乃木坂46からの卒業を控えた重大な過渡期にありました。国民的アイドルグループの顔として多忙を極める中、本格的なサスペンス映画のヒロインという重責に挑んだ背景には、女優としての道を切り拓く強い決意が存在していました。当時の映画完成披露試写会や各種インタビューにおいて、彼女自身も「これまでの自分を壊してでも役に飛び込みたかった」と語っており、その言葉通り画面越しに伝わる気迫は圧巻です。
ネット上のレビューや映画専門誌における『スマホを落としただけなのに』での白石麻衣の演技力に対する評判は、公開当初から現在に至るまで非常に高く評価されています。特に注目を集めたのが以下のポイントです。
- 壮絶な恐怖描写への没入感:拉致監禁され、拘束具をつけられた状態で犯人に脅迫されるシーンでは、喉を枯らすほどの絶叫と過呼吸寸前のパニック状態をノーCGで熱演。
- 感情の繊細なグラデーション:恋人・加賀谷への不信感と愛情の揺らぎ、事件に巻き込まれる中で自立した女性へと成長していく内面を巧みに表現。
- 主題歌とのシナジー:King Gnuが書き下ろした主題歌「どろん」の疾走感と重厚なビートが、美乃里の追い詰められる緊迫感を極限まで引き立てる演出効果を発揮。
単なる「アイドルの客寄せキャスティング」という事前の偏見を完全に打ち破り、第44回日本アカデミー賞の話題作としても取り沙汰されるなど、映画界における彼女の立ち位置を決定づけるマイルストーンとなりました。