1997年のドラマ『月の輝く夜だから』のヒット以降も、この楽曲の求心力は衰えるどころか、時代とともに再評価の波を広げていきました。
その象徴的な出来事が、2017年の『第68回NHK紅白歌合戦』への初出場です。デビュー30周年という記念すべき節目に、白組としてステージに立ったエレファントカシマシは、一切の過剰な演出を排し、四人だけの骨太なバンドサウンドで『今宵の月のように』を熱唱しました。宮本浩次が髪をかきむしり、全身全霊で放った歌声は、SNSやテレビの前のお茶の間で「本物のロックバンドの気迫に圧倒された」と社会現象的な反響を呼びました。
さらに、多くのトップアーティストが敬意を表してカバーを重ねていることも特筆すべき点です。絢香、ウルフルズ、BEGIN、田島貴男(Original Love)、スピッツ(草野マサムネによるイベントでの歌唱)など、ジャンルを超えた実力派シンガーたちがそれぞれの解釈で命を吹き込んできました。女性ボーカリストによるカバーでは母性と切なさが際立ち、同世代のロックミュージシャンによるカバーでは男の連帯感が強調されるなど、楽曲自体が持つ器の大きさを証明し続けています。