食後すぐに横たわる習慣がもたらす害悪は、肥満にとどまりません。消化器系や自律神経系に過度な負担を強いることで、複数の慢性疾患を招く温床となります。
最も臨床現場で多く見られるのが「逆流性食道炎(胃食道逆流症:GERD)」です。通常、食べたものは食道から胃へ送られ、胃酸によって数時間かけてドロドロに消化されます。胃と食道の間にある「下部食道括約筋」が逆流を防いでいますが、食後すぐに水平に横たわると、重力による逆流防止効果が失われます。胃酸を大量に含んだ内容物が食道へ逆流し、食道粘膜を激しく刺激することで、胸やけ、酸っぱい液体が口に上がる呑酸(どんさん)、慢性の咳などの症状を招きます。
また、消化不良と胃もたれも直結します。睡眠中は胃腸の蠕動(ぜんどう)運動が低下し、消化酵素の分泌も鈍くなります。本来なら2〜3時間で十二指腸へ送られるべき胃内容物が長時間滞留し、翌朝の胃痛や膨満感、口臭の原因となります。
加えて、睡眠そのものの質も大きく損なわれます。胃腸がフル稼働で消化活動を行っている間、自律神経は休息できず、深いノンレム睡眠への移行が阻害されます。「寝たはずなのに朝から体がだるい」「疲労が抜けない」という不調は、就寝直前の食事が自律神経の回復を妨げているケースが多々あります。