岡本和真選手の応援歌を語る上で、ネット上でしばしば見受けられる誤解や見落とされがちな盲点を整理しておきましょう。
まず代表的な誤解が、「過去のジャイアンツ選手の応援歌を流用したのではないか」という説です。読売ジャイアンツでは、歴史的に過去の名選手のメロディが別の選手へ受け継がれるケース(いわゆる流用・継承)が時折見られます。しかし、前述の通り岡本選手の応援歌は2019年に完全新規で書き下ろされたオリジナル曲であり、過去のどの選手の曲の使い回しでもありません。この事実を認識しているだけでも、応援歌を聴く際の解像度は大きく上がります。
もうひとつの盲点は、「応援歌のテンポ」に関する現場の微細な変化です。応援団が球場で演奏する際、試合展開やイニング、点差によってトランペットのピッチやテンポが微妙に変化している点に気づいているファンは多くありません。緊迫した終盤の好機では、ファンの手拍子に合わせて通常よりもわずかにテンポが速まり、ドーム内の熱狂を限界まで引き上げる演出が自然発生的に行われています。録音された音源を聴くだけでは分からない、現場のライブ感こそが生きた応援歌の醍醐味です。