野毛・日ノ出町界隈の酒場文化を象徴する第一亭は、創業から半世紀を超える老舗台湾料理店です。カウンター席と奥の小上がり席で構成される店内は、昭和の面影を色濃く残し、どこか懐かしく温かな空気が漂っています。2026年現在においても基本的な営業スタイルは守られており、地元住民の晩酌の場でありながら、遠方からの巡礼者が交差する独特の活気を維持しています。
仕入れ価格の高騰が続く昨今の飲食業界において、同店も適宜価格改定を行っていますが、依然として庶民的な価格設定を維持しており、コストパフォーマンスの高さは健在です。看板料理である豚ホルモン系メニューは、鮮度管理と丁寧な下処理が徹底されており、独特の臭みを感じさせない職人技が光ります。名物の「チート(豚の胃袋)のしょうが炒め」は、爽やかな生姜の風味と絶妙なとろみ、コリコリとした歯ごたえが一体となり、ビールのアテとしても白米のおかずとしても右に出るものがありません。
また、かつては常連専用の裏メニューだった「パタン(ニンニク醤油和え麺)」は、ドラマ放映を契機に広く知れ渡り、現在では来店客の過半数が注文する絶対的エースとして定着しています。厨房から漂う芳醇なごま油とガツンと鼻腔を突く生ニンニクの香りは、日ノ出町の路地裏を歩く通行人の食欲を今なお刺激し続けています。