おみくじに現れる「向吉」の正しい読み方は、一般的に「むこうきち」または「むかうきち」と読みます。古語や神道用語の文脈では「吉に向(む)かう」という動詞的な意味合いが込められており、文字通り「現在の状態から未来の幸運へと向かって力強く進んでいる運気」を表しています。
参拝者が最も気になるのは「向吉は大吉と比べて良いのか悪いのか」という点です。結論から言えば、向吉は文句なしの「大吉に準ずる吉運」に分類されます。しかし、大吉と向吉の間には、運勢の力学において決定的な構造の違いが存在します。
易学や東洋哲学の基本概念に「物極まれば必ず反す(物事が頂点に達すると逆の方向へ転じる)」という法則があります。大吉は文字通り運気の「絶頂(ピーク)」を指すため、これ以上の伸びしろがなく、あとは運気が下り坂に向かうリスクを常に内包しています。これに対し、向吉は「これから吉の頂へと駆け上がっていく未完成の上昇気流」を示します。現時点での苦境や停滞を抱えていたとしても、「これから急速に事態が好転する」という確実な希望を保証してくれるため、古くから神職の間では大吉以上に息の長い好運をもたらす縁起物として尊ばれてきました。