ベンガルの名を広く一般家庭に浸透させた決定打は、1986年に日本テレビ系列で放送が開始された『あぶない刑事』でした。彼が演じた捜査課の刑事・田中文男(通称:ナカさん)は、取調室で被疑者にカツ丼を勧めながら落とす「昭和の典型的な刑事」をセルフパロディ化した、実に愛嬌のあるキャラクターでした。
舘ひろし演じる鷹山敏樹(タカ)と柴田恭兵演じる大下勇次(ユージ)が派手なガンアクションとスタイリッシュな捜査を繰り広げる裏で、ナカさんは港署のデスクに座り、愚痴をこぼしながらも二人をサポートします。時には情報屋とのパイプ役を務め、時には課長(中条静夫)の雷からタカ&ユージを庇うクッション役となりました。
当時の現場エピソードとして有名なのが、アドリブによる台詞のキャッチボールです。台本通りの台詞にとどまらず、ナカさんが口にする小さなボヤキや仕草の数々は、舘や柴田の自然なリアクションを引き出しました。主役が思い切り暴れ回れるのは、ベンガルのような実力派が背後で「港署という日常空間」のリアリティを支えていたからに他なりません。