膝の上で丸くなった愛猫が「ゴロゴロ」と喉を鳴らしたり、前足を交互に動かして猫のふみふみと膝乗りを同時に見せたりする光景は、人間側の心をも深く癒やします。このふたつの仕草には、発達心理学的および行動学的に明確な理由があります。
前足で膝をリズミカルに押す「ふみふみ」は、子猫時代に母猫の乳房を押して母乳の出を促していた名残です。成猫になってもこの仕草が出るのは、人間との共生によって保護されている安心感から、幼少期の心理状態に退行する「ネオテニー(幼態成熟)」の現れと解釈されます。爪が刺さって痛むこともありますが、これは母親に対する無条件の甘えそのものです。
一方、猫が膝の上でゴロゴロ鳴く意味については、複数のレイヤーが存在します。約20〜50ヘルツの低周波振動を伴うゴロゴロ音は、通常は満足感や幸福感を表すサインです。脱力しきって猫が膝の上で寝る心理へと移行する過程で鳴らされる音は、自己治癒や精神安定のホルモン分泌を促す作用を持っています。
ただし、耳を横に寝かせていたり、身体に微小な強張りがあったりする場合は要注意です。痛みや極度の緊張を紛らわせるために自己鎮静(セルフスーシング)目的でゴロゴロと鳴くケースもあり、表情や全身の脱力具合をセットで観察することが不可欠です。