なぜ深海でピンクに?キモカワ深海魚の正体と暗闇の進化論

なぜ深海でピンクに?キモカワ深海魚の正体と暗闇の進化論

なぜ深海でピンクに?キモカワ深海魚の正体と暗闇の進化論についての疑問解決ガイドを徹底解説します。

近年の深海探査技術の飛躍的な進歩により、ピンク色の深海魚たちの驚くべき生態が次々と明らかになっています。特に注目を集めているのが、8,000mを超える超深海に君臨するスネイルフィッシュと、異様な捕食スタイルを持つミツクリザメです。

水深8,336mで確認されたマリアナスネイルフィッシュの神秘

東京海洋大学や西オーストラリア大学などの国際共同研究チームが、小笠原海溝の水深8,336m地点において生きた魚類の映像撮影に成功し、世界最深記録を樹立しました。この極限環境で泳いでいたのが、クサウオ科の一種であるスネイルフィッシュです。

スネイルフィッシュの体は、透き通るような淡いピンク色をしています。これは外敵から身を守るための偽装であると同時に、皮膚にメラニン色素を作る必要が全くない暗黒世界であることを物語っています。体内には高水圧によるタンパク質の変性を防ぐ化学物質「トリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)」が高濃度で蓄積されており、ゼラチン質のピンクの体が800気圧もの凄まじい水圧を分散・吸収しています。ゆらゆらと優美に泳ぐその姿は、オタマジャクシのようでもあり、SNS上でも「天使のようにかわいい」と絶賛されました。

「生きた化石」ミツクリザメがピンク色に染まる理由

一方、日本の駿河湾や相模湾、東京湾周辺の深海にも生息するミツクリザメ(ゴブリンシャーク)は、全長3mを超える大型のピンクの捕食者です。映画のモンスターのような突起した角(吻)と、飛び出す顎を持ちます。

ミツクリザメのピンク色は、色素沈着によるものではありません。皮膚のメラニンが極めて薄く、半透明な白色の表皮のすぐ下を通る毛細血管の赤血球(ヘモグロビン)が直接透けて見えているためです。水揚げ直後は鮮やかなピンク色を放ちますが、死後は血液の循環が止まり酸化が進むことで、徐々に灰色がかった褐色へと変色していきます。生きたミツクリザメだけが見せるピンクの輝きは、深海で活動している証そのものなのです。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。