昭和50年代後半、東京を中心に全国的な勢力を誇った伝説の暴走族「ブラックエンペラー」。その頂点である7代目総長に君臨したのが、当時十代後半の宇梶剛士でした。当時の暴走族シーンは現代の小規模なグループとは異なり、数千人規模の構成員を束ねる巨大なピラミッド組織を形成していました。
当時の報道記録やOBたちの回想録によると、最盛期のブラックエンペラーは東京都内をはじめ関東近郊に数多くの支部を持ち、全体で2,000人から3,000人規模の動員力を持っていたとされています。その巨大組織のトップに立った宇梶剛士は、単に凶暴だったからではなく、理不尽を嫌う筋の通った統率力と圧倒的な体格(188cm・大型の骨格)による威圧感、そして仲間を守る責任感で周囲を心服させていました。
メディアで公開された昔の写真には、特攻服に身を包み鋭い眼光でバイクに跨る姿が収められており、当時の少年たちにとっては畏怖の対象であると同時に強烈なアイコンでもありました。しかし、本人がのちのインタビューで述懐しているように、当時の暴走行為や抗争は常に警察との衝突や重大な危険と隣り合わせであり、決して美化されるだけの青春ではなかったことも事実です。