キャトルミューティレーションの歴史において、世界的な認知度を一気に高めた原点とされるのが、1967年9月にアメリカ・コロラド州で発生した名馬「スニッピー(本名:レディ)」の怪死事件です。放牧中に行方不明となったスニッピーは、首から上の肉が完全に削ぎ落とされ、骨が白く露出した無残な姿で発見されました。傷口からは一切の血液が流れておらず、周囲には乗り物の轍や人間の足跡がまったく残されていませんでした。
この事件を皮切りに、1970年代に入るとニューメキシコ州、コロラド州、ネブラスカ州などで牛を中心とする家畜怪死事件が爆発的に多発します。現場で報告された遺体の共通点は、あまりにも常識を逸脱していました。
- 完全な脱血状態:数トンに及ぶ体重を持つ牛の体内から、ほぼすべての血液が消失し、地面にも血痕が飛び散っていない。
- 軟組織の精密な切除:眼球、耳、舌、唇、肛門、生殖器などが、鋭利な刃物でくり抜かれたように円形・直線的に失われている。
- 骨や硬い皮膚の露出:一部の肉が機械的に削ぎ落とされたように消失している。
- 周囲の痕跡の欠如:遺体の周囲数十メートルにわたって争った形跡がなく、動物や人間の足跡、車両のタイヤ痕が存在しない。
- 肉食獣の忌避:コヨーテや野犬などの捕食動物が死骸に近寄ろうとせず、腐敗の進行が極めて遅いとされる証言の頻発。
当時の牧場主たちにとって、資産である家畜が不可解な形で殺害されることは死活問題でした。地元警察や獣医師もお手上げ状態となり、農村地帯に広がったパニックは全米規模の社会問題へと発展していきました。