退位特例法が議論されていた当時、保守派知識人やネット言論の一部から「上皇と新天皇が併存することで『二重権威』が生じるのではないか」「院政のような権力分立が起こるのではないか」という懸念の声が上がっていました。しかし、2026年現在の現実を見れば、その懸念がまったくの杞憂であったことは明白です。
上皇さまは退位の日以降、一切の公的な天皇業務から退かれました。宮中祭祀や新年の一般参賀、国賓の接受といった象徴天皇の務めは、完全に今上天皇陛下へと引き継がれています。上皇さまは宮内庁を通じて「いかなる公務の相談も、新天皇の判断を尊重する」という徹底したスタンスを崩されていません。
ネット上には時折、「上皇さまが裏で皇室運営に口を出している」といった根拠のないゴシップが散見されますが、現場を取材する宮内庁担当記者らはこれを明確に否定します。上皇さまは、天皇が自らの信じる道を歩めるよう、徹底して「沈黙と静観」を守られています。この完全な権限移譲と潔い身の処し方は、歴史上の上皇(太上天皇)のあり方をも塗り替える、極めて近代的な引き際の実践例となっています。