『きまぐれオレンジ☆ロード』を語る上で避けて通れない最大のテーマが、春日恭介・鮎川まどか・檜山ひかるの三角関係がどのような結末を迎えたのかという点です。読者やファンの間で今なお熱く語り継がれているのは、原作漫画の最終回と、1988年に公開された劇場版アニメ第1作『きまぐれオレンジ☆ロード あの日にかえりたい』で見せた描写の鮮烈なコントラストにあります。
原作漫画における最終章では、アメリカ留学を決めた鮎川まどかと恭介の絆が、時間を超える不思議な階段の奇跡を交えて描かれます。ひかるに対する別れの告白も行われますが、全体として爽やかな余韻を残す少年漫画らしいリリシズムに満ちたフィナーレとなりました。恭介とまどかが互いの想いを確かめ合い、過去の思い出が詰まった100段の階段で再会を果たすシーンは、多くのファンが思い描いた「理想のハッピーエンド」として高い支持を得ています。
一方で、映画『あの日にかえりたい』のネタバレを含む結末は、当時のファンに凄まじい衝撃を与えました。大学受験を控えた高校3年の夏を舞台に、望月智充監督が描いたのは徹底的にリアルで残酷な「モラトリアムの終焉」でした。優柔不断な態度を続けてきた恭介が、まどかへの本心を自覚し、ひかるに冷徹なまでに明確な拒絶を告げる場面は、青春の痛みを容赦なく抉り出します。
ひかる役の原えりこ氏が見せた涙の熱演と、ひかるが階段を駆け下りながら絶叫するシーンは、アニメ史に残るトラウマ的名場面として語り継がれています。「どちらを正統な結末と捉えるか」についてはファンの間でも長年議論が分かれていますが、痛みを伴う大人の選択を描き切った映画版は、単なるアニメ映画の枠を超えた傑作人間ドラマとして現在も極めて高い評価を獲得しています。