インターネット通販や量販店では、「本革使用」と謳いながら数千円から1万円前後で販売される安価なショルダーバッグが無数に並んでいます。しかし、ネット上の口コミ検証や革工房関係者への取材を進めると、こうした極端な低価格帯の製品を選んだ購入者の多くが、2年と経たずに深い後悔を抱えている実態が浮かび上がります。
その最大の原因は、「スプリットレザー(床革)」の存在です。原皮をスライスした際に出る下層の繊維が粗い部分(床革)に、ポリウレタンや塩化ビニールなどの樹脂フィルムを圧着して銀面(革の表面)に似せた素材は、法的には「本革」と表記できてしまいます。しかし、樹脂コーティングされているため革本来の通気性や柔軟性はなく、数年経過すると日本の高温多湿な気候によって加水分解を起こし、表面がボロボロと剥離したり不自然なひび割れが生じたりします。
SNSや大手質問サイトの投稿でも、「セールで飛びついた革バッグが2年目の梅雨を越えたら表面がベタつき、洋服に黒い粉が付着して破棄した」「ストラップのコバ(断面の処理)が数ヶ月で割れて芯材が飛び出してきた」といった生々しい被害報告が散見されます。修理して使い続けることが構造上不可能な安価なバッグは、結果として「安物買いの銭失い」に直結します。失敗しない革バッグの選び方と理由の根底にあるのは、原皮のクオリティと鞣(なめ)しの工程に対する妥協なき見極めです。