映画中盤で観客に鮮烈なショックを与えたのが、王宮に招かれた荒地の魔女に対するサリバンの制裁です。かつては王室付きの優れた魔法使いでありながら、悪魔に魂を売り渡して荒地へと追放された魔女に対し、サリバンは王宮の長大な階段を自力で登らせて体力を消耗させました。
そして温室の魔法陣の中央で、サリバンは「悪魔と手を結んだ魔法使いの末路」を見せつけるかのように光の結界を発動させます。荒地の魔女が長年蓄積してきた魔力と若さは一瞬にして焼き尽くされ、彼女は一夜にして精神も肉体も衰えた、ただの無力な老女へと堕とされました。
この凄惨な処刑劇は、同席していたソフィーに対するあからさまな威嚇であり、ハウルが王宮に出頭した際に辿る運命のデモンストレーションでもありました。国家の管理下から外れ、悪魔と交信した者は肉体ごと魔力を抜ぎ取られる。サリバンの微笑みの奥にあるのは、自らが構築した絶対王政の秩序に異分子を決して許さない全体主義の冷酷さです。