「赤ちゃんの便やおならは無臭に近いと思っていたのに、大人並みにツンと臭う」と戸惑う親は多いものです。おならの臭気と、排出時に激しく泣き叫ぶ現象には、栄養源の消化プロセスと腹腔内圧の上昇が深く関わっています。
おならの臭いは、栄養源が母乳か育児用ミルクかによって大きく異なります。母乳栄養の児は腸内に善玉菌であるビフィズス菌が優位に繁殖しやすく、基本的には酸味のあるヨーグルト様の匂いになります。一方、育児用ミルク(粉ミルク)は牛乳タンパク質や脂質を母乳に近づけて調合しているものの、タンパク質の一種であるカゼインの比率や硫黄を含むアミノ酸の代謝過程により、大人の便に近いわずかな腐敗臭や硫黄臭(温泉卵のような臭い)を帯びやすくなります。
また、赤ちゃんが顔を真っ赤にして手足を縮め、苦しそうにいきんで泣く現象は、医学界で「乳児仙痛(インファンタイル・コリック)」や「ディスケジア(乳児排便困難症)」と呼ばれる生理的状態と密接です。腸内にガスが充満して腸壁を伸展させると強い腹部膨満感や鈍痛を引き起こします。さらに、赤ちゃんは「腹圧をかけながら肛門括約筋を弛緩させる」という協調運動がまだ上手にできないため、ガスを押し出そうと力めば力むほど肛門を締めてしまい、強い不快感から激しく泣いてしまうのです。