道路脇のアスファルトの継ぎ目やガードレール下で、春先になると鮮やかなオレンジ色の花が一面に咲き乱れている光景を目にする機会が増えています。この植物の正体のほとんどは、地中海沿岸原産のケシ科の外来植物「ナガミヒナゲシ(長実雛芥子)」です。
農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)や各地の環境科学研究所の調査データによると、ナガミヒナゲシは1株あたり約15万粒以上という驚異的な数の種子を生産します。ケシ粒ほどの微細な種子は、自動車のタイヤの溝や歩行者の靴底、雨水の流れに乗って瞬く間に生息域を拡大しました。1961年に東京都世田谷区で初めて確認されて以降、現在では沖縄を除く日本全国の市街地や幹線道路沿いを埋め尽くすまでに至っています。
SNSやネット掲示板などでも「庭に可愛い花が咲いたので放置していたら、翌年には庭中がオレンジ色で埋め尽くされた」「抜こうとして茎を折ったら黄色い汁が出て手が赤く腫れた」といった体験談が相次いでいます。ナガミヒナゲシは栽培自体が法律で禁止されているわけではありませんが、周囲の植物の生育を阻害する「アレロパシー活性」を持ち、在来種を駆逐する恐れがあるため、多くの自治体が警戒を強めています。