陸上で圧倒的な存在感を放つのが、シカ科最大種であるムース(ヘラジカ)です。肩高だけで2メートル、体重は500キログラムを超える個体も珍しくありません。手のひらを広げたような巨大な角(ヘラ角)を持つオスが湿原を渡る姿は圧巻です。主な生息地は、オンタリオ州のアルゴンキン州立公園やアルバータ州、ブリティッシュコロンビア州の森林湿地帯で、初夏から秋にかけて湖畔で水草を食む姿が頻繁に目撃されます。
一方、山岳地帯の生態系の頂点に君臨するのがグリズリー(ハイイログマ)です。アルバータ州のバンフ国立公園やジャスパー国立公園には多くのグリズリーが生息しており、肩の盛り上がった筋肉のコブと皿のような丸い顔が特徴です。春先の雪解けとともに冬眠から目覚め、夏場はベリー類や植物の根、秋にはサケなどを旺盛に食べて冬に備えます。黒くて小柄なアメリカクロクマ(ブラックベア)も同じ地域に生息していますが、体格や攻撃性、行動パターンが大きく異なるため、現地のレンジャーは識別法を周知徹底しています。
さらに、雪深いタイガ林に潜むのがカナダオオヤマネコです。カンジキのように幅広く毛で覆われた大きな足を持ち、深い雪の上を沈まずに軽快に移動できます。耳の先端にある黒い房毛と短い尾が特徴で、主食であるカンジキウサギの生息数サイクルと連動して個体数が変動するという、極めて興味深い捕食生態を持っています。非常に警戒心が強く夜行性のため、大自然の中でその姿を目にするのは現地のプロガイドでも至難の業です。