松本駅のお城口(東口)へ降り立ったら、まずは長野の誇る食文化からスタートしましょう。松本駅周辺には開店直後から行列ができるそば処がひしめき合っています。観光案内所や地元住民への聞き込みでも評価の高い手打ちそばの老舗では、八割や十割の端正な蕎麦とともに、信州の清らかな水で締められた喉越しを味わえます。手打ち蕎麦は仕込み分が終了次第店じまいとなるケースが多いため、1日目の正午前後に組み込むのが鉄則です。
腹ごしらえを終えたら、松本のシンボルである国宝松本城へ向かいます。文禄年間に築造された五重六階の現存天守としては日本最古を誇り、漆黒と白漆喰のコントラストが背後のアルプスに鮮やかに映えます。城内に足を踏み入れると、武者走りの暗がりや、最大傾斜約61度にも達する急峻な木造階段が待ち構えており、当時の戦国建築のリアルな緊迫感を体感できます。天守最上階からは松本盆地を360度見渡す絶景が広がり、城下町全体の位置関係を把握する上でも必見のスポットです。
城郭の歴史に触れた後は、女鳥羽川沿いに伸びる縄手通り商店街へ。かつて清流に生息していた「カジカガエル」にちなみ、通りの入り口には巨大なかえる大明神が鎮座しています。江戸時代の長屋を模した通りには、焼き立てのたい焼き、おせんべい、骨董品やレトロな玩具を扱う個性的な店が軒を連ね、食べ歩きをしながらのんびり散策するのに最適です。
千歳橋を渡って南側へ進むと、趣が一変し、白壁となまこ壁の土蔵が立ち並ぶ中町通り蔵巡りが始まります。かつて酒造業や呉服問屋で栄えた商業地であり、火災から家財を守るために造られた土蔵が今も美しく保存されています。現代では民芸品店やクラフトギャラリー、ハイセンスなカフェとしてリノベーションされており、松本民芸家具の温かみある椅子で自家焙煎珈琲を楽しんだり、作家物の器を手に取ったりと、大人の散策時間を存分に楽しめます。
夕暮れ時には、松本駅前バスターミナルから発着する路線バス(アルピコ交通)に乗り、市街地北東部に位置する温泉地へ向かいましょう。松本には性格の異なる二大温泉地があり、開湯1300年の歴史を誇り共同浴場巡りも楽しい浅間温泉旅館評判をチェックして選ぶか、落ち着いた民芸調の佇まいと静寂が魅力の美ヶ原温泉を選ぶかが旅情を左右するポイントになります。どちらも駅からバスで20〜25分程度(片道約360〜390円)でアクセス可能であり、車がなくても極上の温泉宿へ容易にエスケープできます。