一般に混同されがちな「拘置所」と「刑務所」ですが、法律上の位置づけと収容目的は根本から異なります。最大の違いは、収容されている人物の法的地位です。
刑務所は、刑事裁判で有罪判決が確定し、懲役刑や禁錮刑(2025年6月以降順次施行された「拘禁刑」)に処された「受刑者」が服役する矯正施設です。これに対し、拘置所は逮捕・勾留された後、起訴されて裁判で判決が確定するまでの未決拘禁者の処遇を主目的として設置されています。
憲法および刑事訴訟法の大原則である「推定無罪」が適用されるため、拘置所にいる段階ではいかなる刑罰も科されていません。したがって、刑務所のような強制的な刑務作業の義務は課されず、逃亡や証拠隠滅を防ぎつつ、円滑に公判(裁判)を受けられる状態を維持することが管理の眼目となります。希望者には軽作業を行う「請願作業」が認められるケースもありますが、あくまで任意です。
また、着用する衣服についても差が生じます。受刑者は施設から支給される所定の工場着や舎房着を着用しますが、拘置所の未決拘禁者は、規律違反や衛生上の問題がない範囲において、自前の私服(自弁服)を着用して生活することが法的に保障されています。