なぜ中国とインドは、これほどまでに圧倒的なシェアを維持できるのか。その背景には、国土の広さだけでなく、国策として進められてきた強烈な農業インフラ整備と技術革新が存在します。
中国米生産量シェア理由の核心は、14億の民を養うために国家主導で開発された「ハイブリッド米(雑交水稲)」の驚異的な単収(単位面積あたりの収穫量)と、長江流域を中心とする徹底した水利灌漑網にあります。中国では温暖な南部で二期作が広く行われているうえ、品種改良によって病害虫に強く高収量な品種が広く普及。広大な農地を効率的に回転させる集約農業が、世界シェア約28%という巨人を支えています。
一方、世界第2位のインドは「生産大国」であると同時に「世界最大の輸出国」として国際市場を支配してきました。しかし近年、インド政府が発動した非バスマティ白米の輸出禁止措置は、世界中の市場に激震を走らせました。
このインド米輸出規制の真相は、国内の深刻なインフレ抑制と、モンスーンの不規則化による収穫不安にあります。干ばつと洪水が交互に襲う異常気象のなか、総選挙を控えた政権が国内の食料価格高騰を防ぎ、国内供給を最優先した結果でした。世界の米貿易量の4割を握っていたインドの「コメの蛇口」が突然締められたことで、アフリカ諸国をはじめとする輸入依存国では米価が高騰。一国の農業政策が瞬時に世界の食糧危機に直結する脆弱性を露呈させました。