東京・台東区の浅草寺は、凶が出る確率が高いことで知られる。観音くじの伝統を今に伝える同寺では、古来からの配分比率を頑なに守り続けており、全体の約3割が凶とされている。観光客が次々と凶を引き当てて驚く光景は、浅草の風物詩とも言える。
この配分比率の背景には、古代中国から伝わる陰陽五行説の思考が存在する。万物は陰と陽のバランスで成り立ち、陽が極まれば陰に転じ、陰が極まれば陽に転じる。吉ばかりを連発させず、一定割合の凶を設けることで、参拝客に「陰極まれば陽となる」という易学の真理を体感させているのだ。占術・伝統文化の視点から見ても、凶の存在は絶望ではなく、運気が陽へと好転する転換点に他ならない。