劇場版ドラえもんを語る上で避けて通れないのが、1980年代から2000年代前半までの「旧作」と、2006年以降の「新作(リメイクおよび新オリジナル)」の比較論です。単なる声優交代にとどまらず、作劇の構造自体に時代に合わせた緻密な再設計が施されています。
旧作の最大の魅力は、藤子・F・不二雄先生が構築した骨太なSFサスペンスと、子どもを子ども扱いしない論理的なプロットにありました。未知の空間へ足を踏み入れる際の静謐な冒険感や、敵対勢力のリアルな脅威設定は、当時の少年少女に知的興奮と心地よい緊張感を与えました。
一方の新作リメイク群(『新・魔界大冒険』『新・鉄人兵団』『新・日本誕生』など)では、旧作の強固なプロットを継承しつつ、登場人物の「心理描写の掘り下げ」と「人間ドラマの補完」に焦点が当てられています。美夜子の母への想い、ピッポ(ジュドの頭脳)の葛藤、ククルの孤独など、キャラクター間の情動がより分かりやすく、かつ立体的に演出される傾向にあります。