古生物ファンを魅了してやまないのが、絶滅哺乳類である束柱目(そくちゅうもく)の存在だ。なかでもデスモスチルスとパレオパラドキシアは、かつて北太平洋沿岸の浅海域にのみ存在した謎多き生物である。なぜ彼らはこれほど独特な歯の形状へと進化し、そして姿を消したのか。その謎を解く鍵を握る重要化石が、この博物館に集約されている。
同館の安藤佑介学芸員を中心とする研究チームは、骨の微細構造解析や最新の3Dデジタルスキャン技術を駆使し、彼らの生前の姿や生態の再現に挑み続けている。四肢の骨格から推測される水陸両生の暮らしぶりや摂餌行動など、最前線の研究成果が次々と発表されている。日本古生物学会でも度々議論の的となるこれらの標本は、まさに地球生命史のミッシングリンクを埋める貴重な財産だ。