現存する日本最古の「ローラーコースター」として知られるこのアトラクションの最高時速は、わずか42km/hに過ぎない。新幹線どころか一般道の自動車並みの速度に聞こえるが、実際に乗車した者の多くは数字以上の恐怖を口にする。
その理由は、極限まで詰め込まれた敷地構造と独特の「キシミ」にある。狭小な空間を縫うように走るコース設計により、体感速度は実数値の倍以上に跳ね上がる。視界のすぐ脇を民家の壁や銭湯の看板が切り裂くように流れていくスリルは、構造物との圧倒的な近さがもたらす錯覚だ。さらに、半世紀以上を経てなお現役で動く機体のきしみ音が、乗客の心理的プレッシャーを最高潮に高めていく。