日本全国には、現代社会のルールとは異なる次元で管理されている場所が点在する。筆頭に挙げられるのが、ユネスコ世界文化遺産にも登録された福岡県宗像市の「沖ノ島」だ。全島が宗像大社の境内であり、現在も神職以外の立ち入りは厳格に制限されている。2017年の遺産登録の際、島全体の神聖さを保つために観光客の受け入れを完全拒否した決断は、世界的な文化遺産保護のあり方に鮮烈なインパクトを与えた。
また、奈良県の大神神社がご神体とする三輪山も、歴史的な登拝ルールが厳重に守られている場所だ。撮影禁止や飲食禁止といった厳密な禁忌が課されており、単なるレジャースポットとは明確に一線を画する。これらの地域が掲げる立ち入り制限は、人間を不当に排除するためではなく、自然と精神的伝統への敬意を未来へ無傷で継承するための至高の知恵なのだ。